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ブックレビュー(書評)
2013年12月
『人間存在と愛―やまとことばの倫理学―』
  川井博義 著     [北樹出版 本体2300円(税別)]

 人はなぜ歌をうたうのか――本書はこのひとつの問いから『萬葉集』をひもどいた犖Φ羹餃瓩任△襦しかし、そこで展開されるのは、一般に見られるような、研究者という主体が、『萬葉集』という客体を対象的に分類・分析する手法ではない。著者によれば、そもそも「主‐客」構造の基本となる「個人」概念自体が、明治以降に広まった「ものの見方・考え方」であり、萬葉の時代にはなかったという。そのため、一貫して論じられるのは、萬葉人の「ものの見方・考え方」そのものであり、彼らの歌の言葉に寄り添いながら、「人間存在」とは何か、「愛」とはどのようなことであるかが解き明かされていく。
 特に、『萬葉集』でうたわれる「ひとり」「吾等(わ)」「孤悲(こひ)」などの言葉に着目し、その考究を通して、萬葉人にとって「在ること」とは「共在(共に在ること)」が原点であるという事実が尋ね当てられる。例えば、「ひとり」「孤悲(ひとり・かなし)」とうたうのは、「ふたり」という原点への回帰を希求するときであり、あるいは、やまと言葉の「わ・われ」を「吾等」と表記するとき、念頭にあるのは「われわれ」という犇Υ兇寮こΝ瓩任△襪箸いΑ

萬葉人にとって「在ること」とは、「個人」単独で成立することではなく、共に在ることであった。実存的欲求というときの実存、すなわち「現実存在」とは、「個人」ではなく、共在なのである。よって、実存的欲求とは、共在を「在ること」の原点とする者たちの欲求なのである。(「結章」より)

 「共在(共に在ること)」が存在の根拠であるがゆえに、人は「孤悲」を感じ、その原点への回帰を欲する。ここで見いだされた実存的欲求は、決して牴甬遒了代瓩鮴犬た萬葉人に限定されるものではないだろう。犖渋絖瓩鮴犬る私たち、〈いま・ここ〉を生きるこの「私」にも貫かれた、人間存在の根源的欲求ではないだろうか。

名和達宣(親鸞仏教センター研究員)

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