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ブックレビュー(書評)
2015年7月
『九相図をよむ―朽ちてゆく死体の美術史――』
  山本聡美 著    [角川学芸出版 1440円 2015年]

 腐乱した女の死体へ喰(く)らいつく犬、肉を啄(ついば)む烏。
 本書を捲(めく)ってすぐ現れるのが、衝撃的でありながらもどこか蠱惑(こわく)的なこの光景である。
 死体が腐敗し、白骨となるまでの過程を九つの相で描いた九相図(くそうず)。本書はその深淵(しんえん)な森へと分け入る手引きとなる一冊だ。鎌倉時代の作例と経典との対応関係、室町時代の二大画派による画風の相違。江戸時代における絵解きを通じた九相図の浸透。さらに幕末生まれの絵師による追求を経て、現代日本においてなおも描き出される九相図。本書は、中世から近世、そして近代から現代へと視点を移しつつ、日本における九相図の展開を辿(たど)ってゆく。
 見る者に無常観を詠(うた)わせ、他者の発心をも導き、さらには文芸的楽しみとしても享受されてきた日本の九相図は、煩悩を否定し、愛欲や執着を断ち切るという修行的テクストからは距離を置いた、聖と俗を架橋する生き生きとした物語として展開される。そこに描かれているのは死体であるのにもかかわらず、だ。
 実のところ私たちは、死を見つめながら今を生きているのかもしれない。本書は著者の精緻(せいち)な研究によって書き上げられた学術書でありながらも、私たち一人ひとりを、生をめぐる問いへと誘引する魅惑的な一冊である。

大澤 絢子(親鸞仏教センター嘱託研究員)

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