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ブックレビュー(書評)
2019年5月
『トレス・ジョイアス―多文化社会で輝く仏教―』(DVD・Blu-ray・ブックレット)
  監督 菅尾 健太郎
  製作総指揮 パウロ・パストレロ [法蔵館、2018年]

 2018年のある日、ひとりの映画監督が親鸞仏教センターを訪れた。その晩、東京からブラジルへ向かうとのことであった。ブラジルへはアメリカ経由と中東経由があるらしい。「地球の反対側だから、どちらから行ってもあまり変わらないんです」と談笑されていた。

 その監督の名は、菅尾健太郎氏。浄土真宗本願寺派南米開教区の開教使でもある。菅尾氏は、2002年から開教使としてブラジルへ渡り、自ら活動するなかで得られた経験や知見に基づきながら、広くブラジルの仏教を紹介したドキュメンタリー映画が「トレス・ジョイアス―多文化社会で輝く仏教―」である。タイトルの「トレス・ジョイアス(Tres Joias)」とは、ポルトガル語で「三宝」を意味する。「三宝(仏法僧)」は釈尊の時代から、その教えに生きる人々が共通して帰依する対象であり、インドから世界へ伝播(でんぱ)した仏教そのものを指す言葉でもある。

 本作品は第1章「ブッダ(仏)」、第2章「ダルマ(法)」、第3章「サンガ(僧)」の3章から構成される。第1章「ブッダ―僧侶になったブラジル人―」では、ブラジル人仏教者を取り上げ、彼らの仏教との出会いや生き方・求道の軌跡が描かれる。第2章「ダルマ―教えの実践と伝達―」では、仏教書の出版や仏教雑誌の刊行、あるいは仏典の翻訳や研究に携わる民間の仏教者にスポットを当て、ブラジルにおける仏教伝道の状況を紹介する。そして第3章「サンガ―多様性を生きる―」では、仏法を求めて集う人々のコミュニティーに注目して、文化や言語の壁を越えてブラジル社会と関わる仏教コミュニティー(サンガ)の様相とその課題に迫っている。

 特に、第3章「サンガ」は、そこに登場する人たちの生き生きとした表情と言葉によって、ブラジルの仏教コミュニティーの実際を浮き彫りにしている。 「衣により僧侶になるのではなく、コミュニティーが僧侶を育てます」と語るブラジリア本派本願寺の女性は、当初、お寺は食べたり飲んだりといったイベントが多いという印象をもっていたようだ。しかし、仏教コミュニティーの育成に関わるなかで、「お寺には世俗的な美しさではなく、私たちが失ってしまったコミュニティーの美しさがある」とその存在意義を話していた。

 また、ブラジル最大の仏教団体と言われ、ブラジルで唯一、共同生活村を建設しているチベット仏教ニンマ派系のCEBB(Centro de Estudos Budistas Bodisatva)のシーンでは、幼い子どもたちが多く集まっていた様子が印象的だった。こうした子どもたちの集いを「サンガ・キッズ」と呼んで、「サンガという家族も存在する」と笑顔で語っていた若い女性は、「他の子も自分の子と同じように、幸せであってほしいと願います」と話す。何気なく発した言葉ではないと思う。すべての人が幸福であってほしいと願い、それを実践するコミュニティーが、日本から見た地球の反対側・ブラジルの地で「サンガ」として存在していたのだ。

戸次 顕彰(親鸞仏教センター研究員)

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