「本願力回向の行信」
―『一念多念文意』を読み解く—
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2001年に親鸞仏教センターが設立されて以来、 この学事施設が目指すべき方向としてきたのは「親鸞思想を現代に開く」という課題である。その一つのあり方として、首都東京の中心で親鸞の選んだ聖教を解読してみようと試みてきた。そこで、初めに取り上げたのが、『無量寿経優婆提舎願生偈 (むりょうじゅきょう うばだいしゃ がんしょうげ)』(『浄土論』)であった。その拝読を、東京国際フォーラムにおいて毎月一度、年に10回を基本に5年にわたって計50回開催することができた。
それが一応終わったので、続いて『大無量寿経』を取り上げ、14年間(137回)にわたって、これを拝読した。これも読了したため、この度親鸞が書いた『一念多念文意』(以下『文意』)という仮名の聖教を取り上げることにした。というのも、この仮名の聖教には、当面の題名のイメージとは異なり、親鸞思想の中心にある問題意識や現代に通じる課題を読み取ることもできるのではないかと拝察したからである。
題名からは、一念義か多念義かという称名念仏についての論争が主題となっているように了解される。たしかにそれが当時(鎌倉時代)の法然上人をとりまく弟子の関心であったし、法然上人没 後に残された弟子たちの論争の中心にもなっていた。この『文意』のもとになった隆寛の『一念多念分別事』(以下『分別事』)が課題にした問題意識でもあった。称名念仏を引き受けた上で、その名号を1回でも称えれば必ず往生できるとするか、やはり凡夫なのだから何回でも称える必要が あるとするのか、という称名の回数を問題意識の中心とする議論である。
それに対して、『分別事』での隆寛は、称名の回数について経典に「一念」ということも「多念」ということも示されているのだから、そのいずれかという議論はナンセンスである、と教え諭す。しかしそれでは、いずれが正しいのかという議論が起こっているのに、なぜ聖教には両方が説かれているのか、ということに対して、明確な確信を持って「一念・多念」と説かれる意味を考察していないようにも見える。
その点について親鸞は、隆寛の立場を受けて、 一念か多念かのいずれかに固執するのはナンセンスであるということを発信しつつ、称名の根底にあって如来が本願力を「名号」を通して表出し、名を通して願心を衆生に受け止めさせようとしているということ、すなわち名によって「本願力」を表現する意味、つまり無上功徳(大涅槃)を一切衆生に平等に付与するという、大乗仏道の願心の意味を丁寧に教え勧めているのである。
しかも、本願力を受け止めるあり方については、単に『分別事』で取り上げられている経文・典籍を解釈するにとどまらず、それぞれの引文の意図を明らかにするために、さらに多くの経文や釈論などを加えて、天親や曇鸞、さらには善導などの受け止めを、説き表していかれるのである。
このことによって、混沌として不安に満たされている時代社会に対して、無限なる大悲の光明を仰ぐ視野を開くことの可能性を示すこともできるのではないかと拝察するのである。
(本多 弘之)
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親鸞思想の解明(第138回)
一念多念文意①
親鸞思想の解明(第139回)
一念多念文意②
親鸞思想の解明(第140回)
一念多念文意③
親鸞思想の解明(第141回)
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一念多念文意⑦
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