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研究活動報告
現代と親鸞の研究会
 重大な刑事事件に市民感覚を反映させることを目的とした裁判員制度は、開始から10年を迎えた。司法参加は、有罪か無罪かを決めるだけでなく、被告が罪を犯すに至った背景を知り、この社会の担い手である「市民」としての自覚をもたらし、さらにはそもそも「罪」と「罰」とは何なのかを問いなおすきっかけにもなり得る——そうした裁判員制度に実際に参加した経験者に接しながら裁判員制度の啓発活動を展開されてきた坂上氏と大城氏に、その詳細を語っていただいた(2020年12月22日)。本報告はその一端である。 (親鸞仏教センター嘱託研究員 飯島 孝良)


裁判員制度10年を見つめて

一般社団法人裁判員ネット理事  坂上 暢幸 氏
一般社団法人裁判員ネット代表理事  大城 聡 氏

◆裁判員体験とは何かを考える(坂上氏)
 裁判員制度の大きな特徴は、我々に「市民」としての自覚を促すという点にあると思います。裁判に携わることは、裁くことの難しさに我々を直面させることになります。具体的に言えば、有罪・無罪の判断、量刑の判断、死刑制度の適用、被害者と向き合うことなどであり、それらは、少なからず心理的負担を抱える可能性があるものです。しかし、裁判員となることで、それまで想像もしなかった被告人の生い立ちや罪を犯すまでの背景に触れることにもなり、ひとを多面的にみることができるようになったと語る方もおられます。こうした体験を、私は「臨床の視座を得る」ことだと表したいと思います。それは、刑事裁判の現場に立ち会うことで、「病」に触れることを意味します。この「病」に触れるとは、我々人間が誰しもがもち得る「内なる病」——つまり不寛容や欲望や絶望といった側面に触れることであり、それと同時に、犯罪が起きる背景としての差別や貧困などの「社会の病」に直接触れることでもあります。

 裁判員経験者には、それまで自分にはまったく関係のない出来事だと思っていた犯罪や社会問題を、自分たちに身近な問題として考えるようになったと語る方も多くおられます。臨床の視座を得ることで被告人のその後を考え、更生も考えていくことになります。その際は、やがて社会に戻ってくる被告人を自分の生活空間にどう受け容れるのかという視点で考えている方も多く、「あの判決でよかったのか」という自問自答を常に胸に秘めながら生きていくことになります。そのようにして、社会との関与の仕方を受動から能動へと根本から変える可能性を秘めたのが、裁判員制度であると考えています。

◆良心的裁判員拒否と責任ある参加(大城氏)
 人を裁くことの重みを感じることには、両面があります。表は責任ある参加であり、裏は良心的裁判員拒否です。良心的裁判員拒否は、裁判法に明文の規定があるわけではありません。ただ、大事な根拠は日本国憲法第19条にある「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」という規定です。制度開始当初は「宗教上の教義の核心部分」に反する場合は辞退が認められるとされていました。しかし、現在では辞退が幅広く認められる運用になっています。

 大切なのは、一人ひとりが自分の良心に照らして裁判に参加するか、拒否するかを判断することです。参加も拒否も、主体的な行動です。辞退の可否において裁判所が良心について判断すれば、それはその人の内面に対する権力の介入になるわけです。そうした介入を避けるために、良心的拒否の代替義務を設け、被害者の方々へのケアや受刑者の社会復帰の手伝いなどを導入すべきだと提案しています。

 自分が人を裁けるのか、人の運命を決められるのかという問題を突き詰めるなかで、裁判所で被告人を目の前にすると、“この人も苦しみを抱えた自分の仲間なんじゃないか”と思ったという裁判員経験者もいます。日常生活のなかで非日常に触れることによって内面が逆転をする「裁判員体験」によって、善と悪、あるいは罪と罰とはそもそも何だろうかという、根源的な問いに触れるのだと思います。人を裁く重さを感じることは、裁判だけではなく、人を変える可能性をもっているのです。
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