親鸞仏教センター
お問い合わせ
 
「現代を生きる人々」と対話するために
HOME親鸞仏教センター概要アクセスサイトマップ
濁浪清風今との出会い研究活動報告出版物紹介講座案内研究員一覧
 HOME > 研究活動報告 > 現代と親鸞の研究会
研究活動報告
現代と親鸞の研究会
 この研究会は、各界の最先端で活躍される有識者をお招きし、専門分野における現代の諸課題について問題提起をしていただこうというものである。このような有識者との対話交流をとおして、現代人の苦悩の根源を明らかにし、親鸞思想に立って共有できる方向を、現代のことばで生みだしていこうと試みるものである。
 第1回は、2001年10月19日、 東京ガーデンパレス(お茶の水)において、法曹界から高城俊郎氏(小池・高城総合法律事務所所長)を迎え、お話をいただいた。 その一部を紹介する。 (本多雅人)
現代経済社会から生じる人間の行動基準

弁護士 高城 俊郎
■経済活動の虚業化
 近代社会は、19世紀から20世紀にわたり、自由な意思で自己決定し得る人間観と、経済活動によって人間を貧困から解放しようという価値観によって出来あがってきたと考えています。ところが近年、コンピューター技術の飛躍的な進歩によって、経済活動のあり方、人間のあり方が大きく変わってきたと思います。コンピューターは、情報管理・大量処理を容易にし、かつ情報の瞬時伝達が可能となったため、企業のみならず人間もコンピューターによって管理される社会になっていると感じられます。
 この結果、金融については、国際化と巨大化が進み、銀行を通じての間接金融から国際的市場を通じてのコマーシャルペーパー等による機関投資家からの直接金融へと変化しています。これが可能なのは、企業に投資して安心であるかどうかという情報を持っていなければならず、コンピューターによる情報がそれを与えることを可能にしたということです。この情報は、国際的な企業評価基準となって、その情報によって企業が倒産に追い込まれるという事態も生じさせています。また、金融市場が、企業の存続等に決定的な影響力を持つことになると、金融を商品とする経済も出現して経済活動の中心となる現象も出てまいります。率直に見れば、虚業(きよぎよう)というような社会にどうも重点が移っているのではないかと感じられます。
■市場経済原理の矛盾
 現在、市場経済ということが強く主張されています。市場経済というのは、ユーザーが支配する経済であると言われています。企業は、常に顧客が何を求めているか、それを企業としてどう提供できるかということが主な活動目的になるわけですから、これが他よりどれだけ優れているかという差別性、選別性を常に合言葉にし、革新し続けていくわけです。企業にとっては勝ち残りたいと考えるわけですし、顧客は便利なもの、より優れたものを求めていくというように、すべてが欲望をどう実現していくのかという、欲望実現サイクルの繰り返し状態の中に人間が置かれてしまっているのです。
 市場経済が、一面においては非常に輝かしいかたちで、努力をした者は報われ、経済的成功を収めるという面を持っていますが、他面においては、当然競争ですから優勝劣敗主義というかたちで敗者を生み出します。市場経済の推進を唱える人たちにとっても、現状ではこの敗者を救済するシステムを持っていないことを認めざるを得ないのです。ですから、これをどう解決していくかが21世紀の課題であると言われています。
■虚像化する人間像
 いわゆる努力主義は良いことであると広く信じられています。しかし、これを社会現象から見た場合、人々にとっては、大変苛酷な状況に置かれていると思われます。なぜなら、負けた者に対して、努力をしなかった、努力が足りなかったとして責任を押しつけるための理論として通用しているとしか感じられないからです。自己責任と言われますが、努力主義の裏返しとしての自己責任という言葉のもとに、敗者を納得させるための理論でしかないのです。しかも、勝者と共に敗者に関係のない者までが、敗者に対して苛酷なまでに非難を加えるという、極めて厳しい現代の社会になっているのではないでしょうか。これは常に誰かの責任を追求していくことよって、自己の正当性を保とうという心理状況で人間が動いているのではないかと思います。
 近年の経済的な破綻は、家族の崩壊も引き起こしています。また、年間3万人を超える自殺者のうちの60%以上が中高年で占めるというのは、明らかにリストラの問題と関係していると思います。なぜ自殺をするのかという共通の原理としては、社会的な評価を絶対的価値観とする現代人にとって、否定的価値判断を受けることは自分破綻であり、自己崩壊をおこさざるを得ないのだということです。要するに、現代人はどういう行動価値観で動いているかというと、自己が他人あるいは社会からどういう評価を受けているかということ。そして、それを自分がどう認知するかということが、少なくとも都会における人間像の基本的な価値観になっているのではないでしょうか。だから虚像を自己と考えて、本来の実像、本物のところに焦点が合っていないのではないかという感じがいたします。
 現実の仕事を含めた生活をどう生きていくのかに関しては、まだまだ私にとってはこれからの課題であると考えていますが、親鸞聖人の「非僧非俗」の宣言が、私ども現代社会の最前線にいる者にとって、親鸞聖人の教えを率直にいただける原点だと思っています。高い立場でものを言うのではなく、俗の立場に立ちながら、俗とまみれて欲望の世界に埋没するのでもない生き方を示されたものといただいております。
(文責:親鸞仏教センター)
※詳細内容は、『現代と親鸞』第2号に掲載しています。
高城 俊郎(たかぎ としろう) 弁護士
1945年生まれ。64年中央大学法学部法律学科入学の後、67年司法試験合格。68年中央大学卒業後、東京弁護士会に所属し、72年、中央区銀座に「高城法律事務所」を開設。2000年9月から「小池・高城総合法律事務所」所長として現在に至る。また、『アンジャリ』第2号に「現代社会と親鸞」を執筆いただいている。
Backnember ページトップへ
公開講座 親鸞思想の解明 現代と親鸞の研究英訳『教行信証』研究会
清沢満之研究会 「三宝としてのサンガ論」研究会
「正信念仏偈」研究会源信『一乗要決』研究会聖典の試訳『尊号真像銘文』研究会
近現代『教行信証』研究検証プロジェクトインタビュー
濁浪清風今との出会い研究活動報告出版物紹介講座案内バックナンバー一覧
親鸞仏教センター
MAP
親鸞仏教センターTwitter親鸞仏教センターfacebook

親鸞仏教センター [真宗大谷派]<br>〒113-0034 東京都文京区湯島2-19-11
TEL 03-3814-4900 
FAX 03-3814-4901 
mail:shinran@higashihonganji.or.jp
 
掲載の記事・写真の無断転載を禁じます
Copyright©The Center for Shin Buddhist Studies. All rights reserved.
ホーム 親鸞仏教センター概要 講座のご案内 スタッフ紹介 バックナンバー一覧 リンク サイトマップ アクセス