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研究活動報告
現代と親鸞の研究会
 2008年11月16日、メトロポリタンプラザ(豊島区)において、慶応義塾大学経済学部教授の金子勝氏をお迎えして「グローバリズムの現在」をテーマに「現代と親鸞の研究会」を開催した。市場原理主義に基づくグローバリズムが全世界的な金融危機をもたらすなど悲惨な結末を迎えつつある現在、自由と平等の実現を基本に経済問題に取り組む金子氏に、グローバリズムの問題点とこれからの対応について語っていただいた。その一部を紹介する。(嘱託研究員 本多雅人)
グローバリズムの現在

慶應義塾大学経済学部教授 金子 勝
■ グローバリズムの現状と帰結
 100年に一度の経済危機と言われる現在、今一番失われている視点が歴史です。未知のリスクや事態に対して完全に予見し対処するということは不可能に近いのです。結局、新しい時代で新しい価値を見いだしていくには、歴史を知るしかないと思うのです。
 グローバリズムは、為替レートを変動相場に切り替えて金融自由化をしていったオイルショック後のやり方が限界に到達した結果、世界中に伝染するような金融危機をもたらしてしまったのです。政治や社会が変化するのは、それまで支えてきた一つのシステムや理念、理論をとことん推し進めていった結果、正反対のシステムや理念によってしか救えなくなってきた時なのです。金融自由化を進めた国ほど被害が大きく、国家破産の危機に直面してしまったのです。こんなことは大恐慌期にはなかった現象なのです。
 世界でどうやって金融危機を克服するかということをめぐって、新しいルールを構築することが必要ですが、各国の利害対立が噴出してしまって、ルール形成は非常に難しい状況です。各国の同意が必要になるというところで、グローバリゼーションの限界が完全に露呈しているわけです。アメリカ中心でグローバル化していけば、全部うまくいくはずだったのです。だから、ブッシュは一国決定主義というか単独行動主義で突っ走ってきたのですが、どうも国際協調主義を取らないといけなくなったのです。これはある意味でオバマが取っている外交戦略でもあるわけですが、なかなかそう簡単には収まりがつかない状態になっているのだろうと思います。
 グローバリゼーションは、否が応にも規制緩和と自由化が求められます。そして、労働市場を含めてさまざまな分野で競争を余儀なくされていくので、格差を是正していくような、あるいは税金を確保するといったような国家の役割を相対的に低下させてきました。それをそのまま認めていくと、先進国と途上国、特に非産油途上国との間では大きな格差が生まれてきます。国内を見ても、貧富の格差がますます拡大し、固定化していきます。国がそういうことに対して役割を負うはずだったのが、グローバルなやり方を認めていくと、とてもそれらの防御壁にはなれないのです。一方で、安直な国の役割を求める動き、つまりナショナリズムや民族意識といったものが凄く高まり、地域間の紛争や内乱が多発するようになります。これも大恐慌期以来の一つの特色です。大恐慌期と似ているのですけれども、現代は国際的なルールでそれを解決していかなければならないのです。かつては戦争で勝ったほうがすべてのルールを決めていたのですが、今は先進国同士が戦争をすることは不可能です。どうやってこの利害対立を協調して収めていくのか、という難しい課題に直面しているのです。
■ 何を為すべきか
 では、こういう社会状況の中で何を為すべきなのかということを次に考えなくてはいけないわけです。これも、やはり目先の利益に合わせたような動きで対処することは出来ません。結局のところ、大きな流れで考えるしかありません。
 オバマは、エネルギー転換という方向性を打ち出しています。ところが日本の場合には、そういう転換が出来ません。小泉政権はブッシュに追従してきたので、環境エネルギー政策は大きく遅れてしまったのです。
 それから、小泉改革のツケのもう一つは異常な低金利を続けてきたことです。リフレーション派というのですが、物価上昇がゼロになるまで量的金融緩和政策をとり、あるいは超低金利を継続しました。その一方で、構造改革で新しい産業を生み出すはずだったのですが、それが出来ずに雇用や社会保障をズタズタにして格差を拡大してしまったのです。金融のほうではアクセルを踏んでいて、構造改革のほうでブレーキを踏んでいるわけです。内需は全然盛り上がらない。それでいて新しい産業は出てこない。結果、円安を誘導することにしかならないのです。世界同時不況になると、輸出だけで成長しているような経済というのは脆(もろ)いわけです。内需が形成されてないまま輸出だけを頼りに成長していったわけですから、その輸出がこけてしまうとどうにもならないのです。小泉改革の場合は、政策は全くのピンボケだったのですが、それに対してみんなが熱狂したわけです。それが冷めているのが今の段階です。それでありながら「チェンジ」が出来ないという、この国の体質のようなものが露(あら)わになっているのです。
 大きな流れで考えれば、環境エネルギーが鍵になると思います。オバマは、今は歴史的なニューディールだと言っていますが、そういう大転換の波に乗っていかなくてはいけないと考えているのだと思うのです。私たちは、今そういう意味での大きな転換点にいるにもかかわらず、金融立国を目標として以降の産業戦略を失ったままなのです。
 最後になりますが、このような時代の中で、歴史の中で生まれてくる、こういう大きな格差や人々の出口のないような不安感に対して、真宗は何を提供し得るのか。この状況の中で宗教原理主義や似非宗教といったものが台頭していますが、現代に民衆的な宗教として生まれた真宗の伝統がどういう形で浸透していくのかということを、私は逆に知りたいのです。
(文責:親鸞仏教センター)
金子 勝(かねこ まさる)慶應義塾大学経済学部教授
1952年、東京都に生まれる。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。法政大学経済学部教授などを経て、現在、慶応義塾大学経済学部教授。専門は財政学、制度の経済学。著書に、『反グローバリズム』『市場』『金子勝の食から立て直す旅』(以上、岩波書店)、『閉塞経済』『セーフティーネットの政治経済学』『戦後の終わり』(以上、筑摩書房)、『市場と制度の政治経済学』(東京大学出版会)、『粉飾国家』(講談社)、『日本再生論』(NHK 出版)、また、共著に『世界金融危機』『反ブッシュイズム1〜3』『逆システム学』(以上、岩波書店)、『環境エネルギー革命』(アスペクト)など多数。
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