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研究活動報告
現代と親鸞の研究会
 2019年12月17日、早稲田大学人間科学学術院教授の橋本健二氏を迎えて「現代日本の階級社会とアンダークラス」というテーマで語っていただいた。橋本先生は、現代日本社会における格差の問題を階級という視点から捉え、格差拡大の原因と過程、そして現状を緻密なデータから明らかにし、格差縮小のための処方箋を提案している。ここにその一部を紹介する。 (親鸞仏教センター嘱託研究員 大谷 一郎)
現代日本の階級社会とアンダークラス

早稲田大学人間科学学術院教授
橋本 健二 氏

■ 格差拡大の原因
 現日本において、これだけ格差が拡大してきた原因として重要だと考えられるのは、近年進んできた非正規労働者の激増です。非正規労働者が激増することによって、労働者階級という一つの階級が正社員と非正規社員に二極化し、格差が拡大したということです。1992年の段階では、非正規労働者は1000万人ほどでしたが、その後1997年辺りから増え、2012年になると1700万人程に達しました。そして、年収に関しても、データから正規労働者と非正規労働者の格差は年を追うごとに拡大していることがわかります。

 労働者階級というのは、資本主義社会の下支えをする下層階級です。しかし、どんどん搾さく取されて貧しくなっていくのかというと、そうではありません。なぜならば、労働者階級が生活できずに働けなくなるとか、貧しさから子供を産み育てられなくなってしまったら、次に働く者がいなくなってしまいます。ですから、資本主義社会というものは、労働者階級にも最低限の生活は保障しなければ存続できないわけです。

 ところが、現代の日本の非正規労働者は、労働力の回復はなんとかできても、次の世代を産み育てるだけの賃金は得ていないのです。このような状況にある非正規労働者は、従来の労働者階級と区別される新しい下層階級になったのではないか、私はこれを「アンダークラス」と呼び、アンダークラスが出現したと考えています。

■ 格差拡大の問題点
 まず、医療費や生活保護などの社会的コストの増大ということが挙げられます。また、格差拡大によって、すべての人の生活の質が低下するという問題があります。格差の拡大により、人々の間に敵意が生まれ、公共心や連帯感が失われます。このため犯罪が増加し、健康状態も悪化すると言われています。

 何より考えなければならないのは、そもそも貧困層が大量に存在することは、倫理的に問題があるのではないかということです。家族を形成し、子供を産み育てるという一つの生物の種として人間が備えているはずの可能性をも発揮できない状況にある、その意味では、人としての尊厳が失われていると言わなければならないと思います。

 それでは、具体的に何が必要なのかということですが、第一に挙げられるのは労働時間の短縮とワークシェアリングです。労働時間に対する規制を強化すれば、その分正社員を増やさなければならなくなります。正規雇用の拡大により、非正規雇用から正規雇用に移る機会が増えると、今度は非正規雇用が人手不足になり、賃金が上昇し、結果として格差が縮小すると考えられます。二つ目は最低賃金を大幅に引き上げることです。EU並みの水準、具体的には時給1500円程度に引き上げれば、非正規雇用で年間1600時間働いたとして、年収は240万円となり、非正規労働者同士で結婚して共働きした場合、世帯収入が480万円になります。それから生活保護制度の改革や税方式の基礎年金制度、いわば高齢者向けベーシックインカムを導入することも考えられます。

 格差の問題はすべての人々に影響する問題です。しかも現在安定した生活を送っている人々の場合でも、アンダークラスに転落する可能性はいくらでもあります。アンダークラスの状況を改善し、格差を縮小して貧困を解決していくことは、すべての人々の利益であるという立場に立って、政治改革へと幅広い団結をつくりだしていくということが、現代日本の最大の課題ではないかと考えます。

(文責:親鸞仏教センター)
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