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研究活動報告
清沢満之研究会
第1回「清沢満之研究交流会」報告

 
清沢満之研究の〈可能性〉
 ―没後百周年から見えたもの―
 清沢満之研究は2003年の没後百周年を機に大いに発展し、その波紋は宗門内にとどまらず、多種多様な方面に広がっている。2015年3月16日、さらなる研究の可能性を拓(ひら)くべく、当センターの主催により、「浩々洞発祥の地」として知られる求道会館(文京区本郷)を会場に、第1回「清沢満之研究交流会」を開催した。当日は約60名が集い、研究領域や立場を越えての白熱した議論が繰り広げられた。以下、研究発表(4名)の要旨と全体討議でのコメントの一端を報告する。(研究員 名和達宣)
■ 研究発表
清沢満之「復権」の試み  
山本 伸裕(東京医療保健大学非常勤講師)

 清沢は、洋の東西を問わず「宗教」と呼ばれうる思想に内在する論理構造を、客観的(学問的)に明らかにする取り組みに、日本人としていち早く着手し、そうした仕事を体系的に成し遂げた先駆者である。宗教哲学者としての清沢の仕事は、これまでにも二度(第一次:昭和40年代、第二次:2000年以降)にわたって「復権」が試みられてきたが、いずれも失敗に終わったと言わざるをえない。今後、第三次の「復権」が試みられるとすれば、「精神主義」と呼ばれてきた思想に紛れ込んだ第三者の思想要素を慎重に見分けたうえで、それらを可能な限り排除し、これまであまり手がつけられてこなかった「宗教哲学」の論考を基盤に、生涯を貫く思想の全体像に迫っていく必要があるであろう。

天皇制国家と「精神主義」
 ――清沢満之を中心に――
 
近藤 俊太郎(本願寺史料研究所研究員)
 従来の清沢研究には、信仰の歴史性を捨象する傾向があった。それゆえ「信仰とその歴史的立場の総体的把握」という観点から清沢の「精神主義」について考察する必要があると考える。清沢は、世俗権力への従属を第一義とせず、現実を鋭く相対化していくことで信仰の確立に向かっていく。そうした現実の相対化の徹底は、宗教の絶対性を開示するうえで重要な意味をもっていた。ただし清沢は、信仰の確立によってその絶対性が現実に転化され、現実に不足を感じなくなるのだとも説いている。清沢の門下が、社会問題や戦争に直面したとき、それを全面肯定して天皇制国家支配を支えたのは、「精神主義」の構造に起因する問題であったと考える。

清沢満之の〈発掘〉
 ――『臘扇記』という一段面――
 
名和 達宣(親鸞仏教センター研究員)
 『臘扇記(ろうせんき)』は、晩年に展開された「精神主義」の直前に著された日記兼思索ノートである。没後百周年を経て『臘扇記 注釈』(法藏館)および『影印本 臘扇記』(清沢満之記念館)が公刊されたことにより、「骨格」として伝わってきた清沢の言葉(抄録「絶対他力の大道」)に、一人ひとりの読者のところで思想的・歴史的な「肉付け」を施すことが可能となり、同時にこれまでは埋もれていた地底部分の発掘ができるようにもなった。そこにおいて見いだされた断面や、近年発表された新たな視座からの問題提起をとおして、われわれが「清沢満之」あるいは「精神主義」と呼んできたものは何かを問い、さらにはそれにかかわる自己自身の宗教性をも掘り起こしていきたい。

大谷大学編『清沢満之全集』(岩波書店)
編纂の背景と課題
 
西本 祐攝(大谷大学短期大学部専任講師)
 一人の人物の思想を尋ねるうえで、その人物の現存する全著述を踏まえ研究がなされるべきであることは言を待たない。その際、テキスト問題は重要である。没後百周年を機に大谷大学真宗総合研究所の編纂により、新版『清沢満之全集』(岩波書店)が刊行された。編纂・刊行に携わった一人として、その背景と共有すべき情報――新たに収録した文献や自筆稿に基づく翻刻(ほんこく)により明らかとなった情報、未収録文献の情報――を今後の研究に資するものとして提供する。この全集によって清沢研究上の諸問題が再検討されねばならないが、刊行後十二年、いまだ十分な検討がなされているとは言い難いと考える。今後、研究の進展につれて未収録文献の情報共有も求められよう。大谷大学では、未収録文献の収集・翻刻作業を再開している。

■ 全体討議
異領域からの清沢研究が交わる場所  
コメンテーター 杉本 耕一(愛媛大学准教授)
 このたびの研究交流会では「歴史学・思想史学」「真宗教学」「哲学・倫理学」という三つの異なった領域での議論が試みられる点に意義があると理解する。異領域からの清沢研究がどこで交わることができるのか、あるいはできないのか。そのことが議論できることを期待し、以下の二点を問題提起したい。

 (1)自身の清沢研究はどのような領域においてなされており、他領域に対してどのような特徴をもっているのか(棲[す]み分け)。他領域との対話のために、自身の領域を越境してゆくとすれば、何が必要と考えられるか(脱領域)。
 (2)自身が清沢研究(批判も含む)をとおして直接的・間接的に打ち出そうとしている「あるべき仏教」の姿とはどのようなものか。他の提題者のものと共存可能か。



 全体討議では、田村晃徳当センター嘱託研究員の進行のもと、初めに杉本氏の投げかけた問提提起に基づき、発表者間で異領域の立場と問題意識から清沢研究に取り組む場合の「棲み分け」と「脱領域」の可能性について意見が交わされた。その後、没後百周年を機に大きく展開したテキストの問題をめぐり、会場からの声も聞き取りつつ積極的な議論が繰り広げられた。
 近代に打ち出された清沢の思想が、現代に影響を与えうるかいなか。また、そこから新たな表現が生じうるか。当センターでは、今後も継続して検証と練磨と醸成の場を提供できるよう取り組んでいく。
(文責:親鸞仏教センター)

※研究発表・全体討議の詳細は、『現代と親鸞』33号「特集 清沢満之研究の軌跡と展望」(2016年6月1日号)に掲載しています。

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