親鸞仏教センター
お問い合わせ
 
「現代を生きる人々」と対話するために
HOME親鸞仏教センター概要アクセスサイトマップ
濁浪清風今との出会い研究活動報告出版物紹介講座案内研究員一覧
 HOME > 研究活動報告 > 清沢満之研究会
研究活動報告
清沢満之研究会
 「清沢満之研究会」では、2016年から『他力門哲学骸骨試稿』(以下、『他力門』と略す)の再読を行ってきた。その際われわれは、関係各所に特別な許可を取り、清沢満之による自筆原稿の調査・翻刻を行った。原稿には多数の書き直しや削除、組み直しの痕跡が残されており、それらの痕跡を可能な限り復元したかたちでの翻刻作業を現在進めている。ただし、この研究によって具体的に明らかになったことなどについては翻刻を公表するまでは触れることができないため、以下では中間発表として、翻刻作業を通して見えてきた新しい問題系について示しておきたい。
清沢満之研究会報告⑳
自筆ノートの調査から見えてくる研究課題


親鸞仏教センター嘱託研究員
長谷川 琢哉
 『他力門』は、清沢満之の生前に公にされることのなかったテキストである。結核療養中に紡がれたこの思索はきわめて密度の高いものであり、それなりにまとまったかたちにはなっている。しかし、そもそもこのテキストが何のために書かれたものであったのかすら(出版を前提にしたものなのか、それとも何かの講義のために用意されたものなのか)、今となっては確かなことがわからない。いずれにしても、清沢満之が書き遺した原稿用紙84頁にわたる一連のテキストは、タイトル表紙を付した上でまとめられた状態で弟子たちに受け継がれた。そして清沢満之の死後、そのテキストは出版されることとなった。

 ところで、岩波版の『清沢満之全集』には、清沢が自ら書いた『他力門』のタイトル表紙の写真が掲載されている。そこからうかがえるのは、「他力門哲学骸骨試稿」というタイトルの内、「試稿」の文字が後から付け加えられたように見えるということである。おそらく清沢は当初、「他力門哲学」の「骸骨」(=骨格)を示そうとしていたが、何らかの理由からそれを公にすることなく、「試稿」として引きとどめておいたものと考えられる。それゆえ『他力門』そのものはしばらくの間、日の目を見ることはなかったが、そこでなされていた思索は、生前に公刊された論文などにおいても継続されているし、『臘扇記』などの私的な日記においても、さらに深められている様子が確認できる。

 そのように考えると、『他力門』は清沢満之の病後に始まった新しい思索の出発点であり、そこでの課題がその後の清沢を決定づけていったと見ることができるかもしれない。そしてそうであるとするならば、あらためて重要になってくるのが、『他力門』に付された「試稿」ということの意味である。生前に書き連ねられた『他力門』のテキストは、少なくとも清沢にとって決定稿でなかったことは間違いない。それを決定稿とするには何かが欠けており、なおも考え続ける必要があったのだ。だからこそ清沢は、『臘扇記』やその他の文章で『他力門』での思索を継続的に深めていったのだろう。

 こうして、『他力門』を読むための新しい問題系が立ち上がってくる。(1)清沢満之は『他力門』において、いかなる課題に取り組み始めたのか。(2)その課題は『他力門』においてどの程度達成され、どの程度達成されなかったのか。(3)『他力門』で未達成だった課題は、後の清沢満之においてどのように展開されたのか。

 以上の問題系は、『他力門』の自筆原稿を調査しながら、少しずつ見えてきたものである。数多くの修正や削除の痕跡が残された自筆原稿は、『他力門』があくまでも「試稿」であるという事実を、強く想い起こさせるに十分なものだ。いわば『他力門』とともに立ち現れてきた思索を、未達成な部分や失敗している部分も含めて、その動性においてとらえること。それが精神主義へと続いていく清沢満之の思想を解明するための、ひとつの足掛かりになるのではないか。このような問題を意識しつつ、親鸞仏教センターでは自筆原稿の翻刻作業を行っている。
Backnember ページトップへ
公開講座 親鸞思想の解明 現代と親鸞の研究英訳『教行信証』研究会
清沢満之研究会 「『教行信証』と善導」研究会会 「三宝としてのサンガ論」研究会」研究会
聖典の試訳『尊号真像銘文』研究会近現代『教行信証』研究検証プロジェクト
親鸞仏教センター研究交流サロン インタビュー
濁浪清風今との出会い研究活動報告出版物紹介講座案内バックナンバー一覧
親鸞仏教センター
MAP
親鸞仏教センターTwitter親鸞仏教センターfacebook

親鸞仏教センター [真宗大谷派]<br>〒113-0034 東京都文京区湯島2-19-11
TEL 03-3814-4900 
FAX 03-3814-4901 
mail:shinran@higashihonganji.or.jp
 
掲載の記事・写真の無断転載を禁じます
Copyright©The Center for Shin Buddhist Studies. All rights reserved.
ホーム 親鸞仏教センター概要 講座のご案内 スタッフ紹介 バックナンバー一覧 リンク サイトマップ アクセス