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研究活動報告
テーマ別研究交流会
 2005年度から、親鸞仏教センターでは、新たに「テーマ別研究交流会」を開催している。まず初年度は、サイコシンセシス(psychosynthesis 統合心理学)の日本における第一人者であり、内科専門医である平松園枝氏を講師にお招きし、東京国際フォーラム(千代田区有楽町)を会場にテーマ別研究交流会を開催した。
 その第1回は、2005年12月16日「サイコシンセシスの人間観」、第2回は、2006年2月20日「自力と他力―意志について」、そして、最終回の第3回は、2006年6月23日「孤独の身をどう生きるか」を講題に開催した。また、前2回の研究交流会のオブザーバーに、弁護士の高城俊郎氏(小池・高城総合法律事務所所長)をお迎えした。
 第1回、第2回の研究交流会から、その一部を紹介し、報告とする。
人間(個・孤独)の精神の開けとはどういうことか

親鸞仏教センター研究員 嵩 海史
■ 「テーマ別研究交流会」発足の願い
 ある専門(学問)領域に従事する者が、他の専門領域の研究者と対話・交流しようとする試みは、研究方法等の相異もあり、いろいろな困難に見舞われることがある。そうした困難をお互いに乗り越え、現代に生起するさまざまな問題点(人間関係の悩みから、実存レベルの問題点まで)について、共通に関心のもてる課題、人間を通底する課題を議論し合い、それぞれの研究活動に資するよう見識を高め合い、その対話内容を広く公開していくことが、本交流会の発足の願いである。そして、提出された課題や問題の継続した対話をとおして、さらに、宗門内外の学識者との共同研究事業の方途を開いていきたいと考えている。
■トランスパーソナル心理学との対話を願って
 すでに、「現代と親鸞の研究会」では、西平直氏(東京大学大学院助教授)から「アイデンティティとスピリチュアリティ」というテーマで講演いただいている(『現代と親鸞』第9号参照)。氏は、宗教的感性、情操、霊性とも重なる概念と思われるトランスパーソナルについて問題提起をされ、アイデンティティ、ライフサイクルといった考え方と仏教の人間観、生死観との対話の可能性を示唆された。
 西平氏との対話が、主に理論的な面に重きを置いたこともあり、今回は、実践面を取り入れながらトランスパーソナル心理学との対話を試みようと、平松園枝氏をお招きすることとした。
■サイコシンセシスの人間観
 サイコシンセシスは、フロイトの精神分析を学んだイタリアの精神科医ロベルト・アサジオリ(R. Assagioli)によって1910年に提唱されたもので、「愛、魂、意志を取り戻した心理学」「トランスパーソナル心理学の最初の枠組み」「宗教と科学の統合」などと言われる。トランスパーソナル心理学にもいろいろな流派・思想があるが、アメリカでは現在、概ね三つに分類される、と筆者はとらえている。
 一つ目は、東西思想の融合というケン・ウィルバーの理論化の系譜、二つ目は、呼吸から変成意識を探る特殊体験といったスタニスラフ・グロフの系譜、そして三つ目がサイコシンセシスの流れで、トランスパーソナル思想を専門家だけの領域に留めず、気づきを現実の改善に結びつけていく系譜である。
 フロイトから袂たもとを分かって誕生した学問だけあって、その思想は、人間の無意識を含めた存在理解である。アサジオリは、その無意識を三層に分け、フロイトの語った衝動、本能などを下位無意識、思い出せる範囲の無意識を中位、そして人間の創造性、美、芸術、勇気、宗教性など、崇高な特性のある領域を上位無意識と呼んでいる。この上位無意識をトランスパーソナル領域とも言う。この無意識が、病的な下位無意識とは異なった性格をもつものであり、人間の生きる力を活気づけると見抜いた点が、アサジオリの功績の一つである。そして、その後のトランスパーソナル心理学の系譜に受け継がれている重要な部分であると言えよう。
 アサジオリは、人間の本質・真の自己をトランスパーソナルセルフと呼び、その特性やエネルギーのある領域をトランスパーソナル領域ととらえた。一方、現実の意識の中心をその投影であるパーソナルセルフと呼び、これを現実の主体として、誰でも体験的に実感し強化できるようにした。そして、このパーソナルセルフがトランスパーソナル領域に触れて、それを現実にいかに表現していくかということに、意志の働きを重視した。それぞれが無意識に気づき、現実に意志を共有し合うことにより現実を改善できると考えた。
 また、その主体が「どう生きるのか」という過程は、サイコシンセシスの理論の核となっていて、この過程において、「気づき」に基づいた「真の意志」が人を動かす大切な内的な力である、とアサジオリは主張している。こうした用語を駆使して、人間を動的にとらえている点も、アサジオリ思想の特徴の一つと言えよう。
■最終回(第3回)を迎えて
 これまでの2回の講義を受け、いただいた問題を筆者の言葉としてまとめてみるならば、サイコシンセシスからは「自己を内観・内省し、真理に触れたうえで個を確立する」という人間観を教わった。この人間の精神の一連の展開は、真宗の教え(例えば、「二種深じん信しん」)と似ているように思われる。もっとも異なる点も当然ながらある。特に大きな異なりは、「個の確立」という人間理解である。真宗や仏教では、「個の確立」を肯定的に認識していないといってもいいのではないか。こうした根本的な相違をどのように受け止め、さらには違いを真摯に受け止めながら、どのような対話を行うことができるのか。
 第3回の研究交流会では、希薄な人間関係が、私たちの生活のなかで大きな比重を占めることにより生じる「孤独」「寂しさ」という日常場面の感情から、真宗、サイコシンセシスでは現代人の孤独をどのように見るのか、閉鎖的な心はいかに開かれるのか、私たちは孤独をどう引き受けて生きるのかなどについて、それぞれの立場から意見が交された。
(文責:親鸞仏教センター)
平松 園枝(ひらまつ そのえ)
内科専門医、聖路加国際病院附属クリニック・予防医療センター長
1970年、京都大学医学部卒業。サイコシンセシス研究会代表。日本ホリスティック医学協会顧問。著書に『好きな自分、嫌いな自分、本当の自分』(大和出版)、『イメージと音楽による:心の別荘機臭掘戞CD/ヒーリングバイブレーション社)、『意志のはたらき サイコシンセシス叢書機戞弊真書房)ほか多数。
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