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研究活動報告
聖典の試訳:『唯信鈔文意』研究会
 「無明の黒闇」「生死の長夜」と親鸞は表現する。それは存在を暗くし、人生全体を覆い尽くしている、一向に光の見えない深い闇への恐れ。何のために人は生まれ、死んでいくのか・・・・、まさに一寸先が見えないような暗黒世界。その意味内容を敢えて開くとするなら、生きることの”徒労”、人生への”虚無感”とでも言えるだろうか。これは現代を生きる私たちにも通ずる問題である。現代は、そういう問題を抱えていながら、言葉本来の迫力が急速に見失われている時代なのかもしれない。
 「無明の黒闇をはらわしむ」。親鸞はこの無明が払われることが信心の利益だと言う。しかし、それは煩悩が無くなるということでは決してない。どれだけ妨げがあっても、黒闇と言わなければならない〈闇〉があってもそれを貫いてくる〈光〉が身に染み徹(とお)る。それは、「智慧の名号」たる所以(ゆえん)である。(嘱託研究員 法隆誠幸)
『唯信鈔文意』試訳 4 >> PDF版はこちら
原文
 「観音(かんのん)勢至(せいし)自(じ)来迎(らいこう)」というは、南無阿弥陀仏(なむみあだぶつ)は智慧(ちえ)の名号(みょうごう)なれば、この不可思議光仏の御(み)なを信受して、憶念(おくねん)すれば、観音(かんのん)・勢至(せいし)(1)は、かならずかげのかたちにそえるがごとくなり。
現代語訳
 「観音勢至自来迎」について。南無阿弥陀仏は智慧の名号であるから、不可思議光仏(阿弥陀如来)の御名を信じて、絶えず深く憶(おも)い念ずるならば、観音菩薩と勢至菩薩は、影が必ずかたちに添うように、その信ずる人にはたらいてくるのである。
 この無碍光仏(むげこうぶつ)は、観音(かんのん)とあらわれ、勢志(せいし)としめす。
 この無碍光仏(阿弥陀如来)のはたらきは、観音菩薩として現れ、勢至菩薩として示される。
 ある『経』には、観音(かんのん)を宝応声(ほうおうしょう)菩薩(ぼさつ)となづけて、日天子(にってんし)としめす。
 ある経典(『須弥四域(しゅみしいき)経』)には、観音を「宝応声菩薩」と名づけて、日天子とよんでいる。
 これは無明(むみょう)の黒闇(こくあん)をはらわしむ。
 これは、日の光が闇を破るように、われわれの存在を暗くする根本原因である「無明」という闇を破ってくださるからである。
 勢至(せいし)を宝吉祥(ほうきっしょう)菩薩(ぼさつ)となづけて、月天子(がつてんし)とあらわる。
 勢至を「宝吉祥菩薩」となづけて、月天子として表わされている。
 生死(しょうじ)の長夜(じょうや)をてらして、智慧(ちえ)をひらかしめんとなり。
 月の光が静かに夜の闇を照らすように、長い夜にも似た生死の迷暗を照らして、智慧を開いてくださるということである。
(原文は、東本願寺発行の『真宗聖典』を参照した)
語注
(1) 【観音・勢至】観世音菩薩・大勢至菩薩のこと。観音は慈悲、勢至は智慧を象徴する菩薩で、共に阿弥陀仏の脇わき侍じである。親鸞は『和讃』等で、聖徳太子を観音菩薩、法然上人を勢至菩薩の化身と仰いでいる。『観無量寿経』には、この二菩薩が阿弥陀仏を助けて衆生を教化する(『真宗聖典』一一二頁)とも、念仏者のために勝れた友になる(『同』一二二頁)とも説かれている。
(訳・語註:親鸞仏教センター)
試訳をめぐって
原文
南無阿弥陀仏は智慧の名号なれば、この不可思議光仏の御なを信受して、憶念すれば、観音・勢至は、かならずかげのかたちにそえるがごとくなり。
現代語訳
 南無阿弥陀仏は智慧の名号であるから、不可思議光仏(阿弥陀如来)の御名を信じて、絶えず深く憶おもい念ずるならば、観音菩薩と勢至菩薩は、影が必ずかたちに添うように、その信ずる人にはたらいてくるのである。
 「観音・勢至は、かならずかげのかたちにそえるがごとくなり」。単なる抽象的表現ではない、実感がこの言葉には込められている。それは日本に仏教を広められた聖徳太子の存在、そして生涯の師、法然上人に遇ったという、この人に出遇わなければ…という感動である。その感銘の深さが後の、「生死の長夜をてらして、智慧をひらかしめんとなり。」という文章にも読み取れるのではないか。
 浄土教には、阿弥陀如来が観音と勢至を引き連れてくるという伝統的概念がある。それを親鸞はあえて壊し、阿弥陀如来の用はたらきが、観音とあらわれ勢至としめすといい、無明の闇をはらす用らきの象徴として、すなわち信心の利益(内容)として押さえているのである。
 現代語化という作業は、ややもするとどこまでも客観的解釈となってしまう。親鸞聖人が自ら証あかしされた信仰の内実・具体性を失わせないよう議論を重ね、結果として、ここでは必要最小限の現代語化に留めることとなった。
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