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研究活動報告
聖典の試訳『尊号真像銘文』研究会
 智栄による善導最初の銘文は、私たちの耳には何とも奇異に響く。曰く、「南無阿弥陀仏」と称えることが「嘆仏」であり「懺悔」であり「発願回向」であり、また「荘厳浄土」である、と。しかもそれらすべてが単に「する」ことではなく、「するになる」ことであると親鸞は言う。称名は行為であって、行為ではないのだ。
 日々の生活にとって、誰が、何をしたのか、あるいはするのか、という判断はとても重要だ。「あの事件を起こしたのは誰なのか」、「彼にはどんな業績があるのか」、「自分には一体何ができるのか」、等々。まして自由と平等が謳(うた)われる民主主義の世にあって、「行為すること」の重みは私たちの意識を知らず知らずのうちに強く圧迫している。
 しかし宗教的信の問題は、したか/していないか、の問題ではない。親鸞は、きちんと念仏できたか、信心を得たかどうかとは問わない。語られているのはただ、阿弥陀に触れたという一事、この身の底を破って現れた開けの内実である。無数の行為が所在なくグルグルと回り続ける現代、お前は「どこに」生きているのか、との問いかけが聞こえてくる。 (元研究員 内記 洸)
『尊号真像銘文』試訳 23
「善導大師の銘文」
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現代語
  「智栄(ちよう)」というのは、中国の僧侶で、人々に敬われた方です。その方が善導の格別にすぐれた徳を讃(たた)えられて、「善導は、この世界に現れた阿弥陀如来である」とおっしゃいました。善導を通して念仏に出遇ったのです。「称仏六字」というのは、「南無阿弥陀仏」の六字を称えるということです。「即嘆仏」とはつまり、「南無阿弥陀仏」を称えることが、そのまま阿弥陀仏を喜びをもって讃えることになる、というのです。また「即(そく)懺悔(さんげ)」とは、「南無阿弥陀仏」を称えることがそのまま、人として生きることの〝罪〟を深く見つめることになる、というのです。自分自身の底に潜む、いつから始まりいつ終わるとも知れないような〝罪〟の事実を悲しみ、痛むのです。「即発願(ほつがん)回向(えこう)」とは、「南無阿弥陀仏」を称えることがそのまま、阿弥陀の願っている〝真実の世界〟に生まれようと思うことになる、というのです。また、いつ、どのような場所で生きる人にもこの「南無阿弥陀仏」が与えられ、そのはたらきが拡(ひろ)がっていくことになる、というのです。阿弥陀の願いのもと、おのずから、この世の苦楽を超えていく道が開かれるのです。「一切(いっさい)善根(ぜんごん)荘厳(しょうごん)浄土」とは、この「阿弥陀」という三字の名(みな)には、法蔵菩薩が積み上げてきた「一切の善根」(あらゆる〝善のもと〟となるもの)がおさめられています〔注1〕。ですから、「南無阿弥陀仏」という名号を称えることがそのまま、浄土を荘厳することになる――つまりそこに、阿弥陀の願う世界が証されていくことになる――のだと知りなさい、というのです。こうした言葉でもって、智栄という方は善導を讃えていらっしゃるのです。

〔注1〕
・『無量寿経』では、法蔵菩薩が兆載永劫の長きにわたって修行し、利他行として無量の功徳を積み上げたと言われる。阿弥陀の名が「一切善根をおさめたまえる」とは、衆生に向けられたその無量の徳行が、諸仏称名の願成就として、阿弥陀の名に初めからこめられているという意味である。

原 文
 「智栄讃善導別徳云 善導 阿弥陀仏化身 称仏六字 即嘆仏 即懺悔 即発願回向 一切善根荘厳浄土」
 「智栄」ともうすは震旦(しんだん)の聖人なり。善導の別徳をほめたもうていわく、「善導は阿弥陀仏の化身なり」とのたまえり。「称仏六字」というは、南無阿弥陀仏の六字をとなうるとなり。「即嘆仏」というは、すなわち南無阿弥陀仏をとなうるは、仏をほめたてまつるになるとなり。また「即懺悔」というは、南無阿弥陀仏をとなうるはすなわち無始(む し)よりこのかたの罪業を懺悔するになるともうすなり。「即発願回向」というは、南無阿弥陀仏をとなうるはすなわち安楽浄土に往生せんとおもうになるなり。また一切衆生にこの功徳をあたうるになるとなり。「一切善根荘厳浄土」というは、阿弥陀の三字に一切善根をおさめたまえるゆえに、名号をとなうるはすなわち浄土を荘厳するになるとしるべしとなりと。智栄禅師、善導をほめたまえるなり。 (『真宗聖典』520頁)
■参考(頁はすべて『真宗聖典』)

善導は阿弥陀仏の化身なり
・阿弥陀如来化してこそ 本師(ほんじ)源空としめしけれ 化縁(けえん)すでにつきぬれば 浄土にかえりたまいにき (499頁「源空讃」)


すなわち……になる
・「則」というは、すなわちという、のりともうすことばなり。如来の本願を信じて一念するに、かならず、もとめざるに無上の功徳をえしめ、しらざるに広大の利益をうるなり。自然に、さまざまのさとりを、すなわちひらく法則なり。法則というは、はじめて行者のはからいにあらず。もとより不可思議の利益にあずかること、自然のありさまともうすことをしらしむるを、法則とはいうなり。一念信心をうるひとのありさまの自然なることをあらわすを、法則とはもうすなり (539頁『一念多念文意』)


仏をほめたてまつるになる
・諸仏称名の願、
 『大経』に言(のたま)わく、設(たと)い我仏を得たらんに、十方世界の無量の諸仏、ことごとく咨嗟(ししゃ)して我が名を称せずは、正覚を取らじ、と。 (157頁「行巻」『大経』)
・←「咨嗟」ともうすは、よろずの仏にほめられたてまつるともうす御(み)ことなり。
(540頁『一念多念文意』)


無始よりこのかたの罪業を懺悔するになる
・深心と言うはすなわちこれ深信の心なり。また二種あり。一には決定して「自身は現にこれ罪悪生死の凡夫、曠劫(こうごう)より已来(このかた)常に没(もつ)し常に流転して出離の縁あることなし」と深信すべし。二には決定して「かの阿弥陀仏の四十八願、衆生を摂受したまう、疑いなく慮(おもんぱかり)なくかの願力に乗ずれば定んで往生を得」と深信せよとなり。 (439頁『愚禿鈔』)


即発願回向 / すなわち安楽浄土に往生せんとおもうになる
・至心回向したまえり。かの国に生まれんと願ずれば、すなわち往生を得(え)、不退転に住せん……
 所有(しょう)の善根回向したまえるを愛楽(あいぎょう)して、無量寿国に生まれんと願ずれば、願に随(したが)いてみな生ぜしめ、不退転乃至無上正等菩提を得ん…… (233頁「信巻」『大経』、『如来会』)
・「言南無者」というは、すなわち帰命ともうすみことばなり。帰命はすなわち釈迦・弥陀の二尊の勅命(ちよく めい)にしたがいて、めしにかなうともうすことばなり。このゆえに「即是帰命」とのたまえり。「亦是(やくぜ)発願回向之(し)義(ぎ)」というは、二尊のめしにしたごうて安楽浄土にうまれんとねがうこころなりとのたまえるなり。 (521頁「善導銘文」)


一切衆生にこの功徳をあたうるになる
・無慚(むざん)無愧(むき)のこの身にて まことのこころはなけれども 弥陀の回向の御名(みな)なれば 功徳は十方にみちたまう (509頁「愚禿悲嘆述懐」)
・おおよそ八万四千の法門は、みなこれ浄土の方便の善なり。これを要門という。これを仮門となづけたり。……この要門・仮門より、もろもろの衆生をすすめこしらえて、本願一乗円(えん)融(ゆう)無碍(むげ)真実功徳大宝海(だいほうかい)におしえすすめいれたまうがゆえに、よろずの自力の善業をば方便の門ともうすなり。いま、一乗ともうすは、本願なり。円融ともうすは、よろずの功徳善根みちみちてかくることなし。自在なるこころなり。無碍ともうすは、煩悩悪業(あくごう)にさえられず、やぶられぬをいうなり。真実功徳ともうすは、名号なり。一実真如の妙理(みょうり)、円満せるがゆえに、大宝海にたとえたまうなり。 
(542~543頁『一念多念文意』)


浄土を荘厳するになる
・「正道の大慈悲は出世の善根より生ず」(論)とのたまえり。この二句は「荘厳性(しょう)功徳成就」と名づく。乃至 性はこれ本の義なり。言うこころはこれ浄土は、法性に随順して、法本に乖(そむ)かず、事(じ)、『華厳経』の宝王如来の性起(しょうき)の義に同じ。また言うこころは、積習(しゃくじゅう)して性を成ず。法蔵菩薩を指す。もろもろの波羅密を集めて、積習して成ぜるところなり。また性と言うは、これ聖種性(しょうしゅじょう)なり。序(はじ)めに法蔵菩薩、世自在王仏の所(みもと)にして無生忍(むしょうにん)を悟る。そのときの位を聖種性と名づく。この性の中にして四十八の大願を発(おこ)して、この土を修起したまえり。すなわち安楽浄土と曰う。これ、かの因の所得なり。果の中に因を説く。かるがゆえに名づけて性とす。……大悲はすなわちこれ出世の善なり。安楽浄土はこの大悲より生ぜるがゆえなればなり。かるがゆえにこの大悲を謂(い)いて浄土の根とす。ゆえに出世善根生と曰うなり、と。
(314~315頁「真仏土巻」『論註』)

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