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研究活動報告
源信『一乗要決』研究会
 本研究会では、平安中期に活躍した恵心僧都源信(942 - 1017)が叙述した『一乗要決』をテキストとして取り上げ、その思想を究明する。源信が65歳頃に『一乗要決』を執筆するが、当然のことながら、それ以外にも彼は様々な論書の執筆や念仏結社といった幅広い活動をしている。したがって、研究会では『一乗要決』の成立に至るまでの前景を視野に入れるため、源信の生涯や人間像を考察した。2019年7月の開設以来、現在に至るまでの研究成果を報告する。

源信『一乗要決』研究会報告②
『一乗要決』成立にいたるまでの源信の思想史的検証

親鸞仏教センター研究員
藤村 潔
『一乗要決』全体の研究に立ち入る前に、まずは源信自身に関する問題の基礎的研究からとりかかった。源信の生涯は様々な伝記に紹介されている。その中でも極めて重要な位置を占める文献が、『首楞厳院二十五三昧結縁過去帳』(以下『過去帳』)に他ならない。『過去帳』は作者・成立事情と不明であるが、ただ内題の下に「長和二年(1013)七月十八日に記し始む」と明記されているため、源信在世には書き始められたと推定される。したがって、今日現存する源信伝の中で『過去帳』が最も初期の史資料と見做される。『過去帳』の中には、源信の出生や家族構成、入山、修行、執筆した論書の名前等が詳しく明記されている。彼が天皇から褒美の反物をもらい、実家の母親に贈った所、涙ながら叱咤の手紙が返されたとされる有名なエピソードも、恐らく『過去帳』が初出である。他の源信に関する諸資料を比較すると、今日我々が知り得る源信のイメージは、『過去帳』に依拠する所が多く、この記述が淵源となり、後世の源信伝に増幅された可能性が高いように思える。

 また『過去帳』には、源信が著述した主要文献が、「往生要集三巻。一乗要決三巻。大乗対倶舍抄十四巻。…」と明記されている。たとえば南都興福寺沙門の永超が著した『東域伝灯目録』(1094成立)にも源信作とした同様の書名が見受けられる。そのため、平安後期には源信の主要文献は真撰として広く流伝していたことが判明する。反対に、後世の源信伝(恵心伝)とされる仮託文献は、『過去帳』や『東域伝灯目録』などにまったく明示されていない。この点、源信伝とされる文献には天台本覚思想の背景が色濃く説かれている面が強く、その真偽を慎重に見極める必要がある。いずれにせよ、『往生要集』と『一乗要決』などは、源信の真撰としてほぼ確定しているため、研究会では、これらにより源信の思想史全体を概観した。

 源信が44歳に著述した『往生要集』は最も有名であるが、その思想形成が一体どのような目的意識から起因し、さらには平安期の阿弥陀信仰にどのような影響を与えたのか判然としない。そのため、法然や親鸞から捉えようする従来のフィルターを一度外し、源信そのものの地平に立ち返り、『往生要集』本文の構成、念仏思想、さらには二十五三昧会の波紋などを究明した。研究会の中でも議論になったが、やはり源信は天台円教の視点に立っているため、念仏を「融通無碍」(円融)の中で捉えている。この点、『往生要集』では大文第九「往生諸行(諸業)」・大文第十「問答料簡」の節を設けて吟味し、念仏も諸善万行と矛盾しない行であると明かす。そのため、たとえば法然の『選択本願念仏集』で説かれるような「廃立」や「選択」といった発想はない。『往生要集』では「称名」以上に「観想」の念仏に軸足を置くため、「現身見仏」の利益などを説き明かしている。つまり源信は、身の事実はたとえ「凡夫」であっても、仏道への志は「聖者」として高い理想を掲げていたと言える。

 以上のように、『一乗要決』成立以前の源信に関する人間観や浄土教思想を詳しく尋ねてきたが、今後は『一乗要決』で繰り広げられる三一権実論争、仏性論争を取り扱い、論争当事者として参画する源信に注目していく。
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