家族は生活を営む場でありながら、ときにさまざまな葛藤が生じる場でもある。親の言うことに子どもはどこまで従うべきなのだろうか。家族に対して自分の抱えている悩みや抱いている考えを打ち明けることはどこまで保証されているのだろうか。
仏教もまた今日の家族をめぐる課題と無縁ではない。仏教と家族をめぐる関係は本来的に矛盾を抱える。出家者に対して戒律を説く歴史がある一方、浄土真宗をはじめ日本の仏教教団の多くは、伝統的な家族規範と結びつきながら発展してきた。親から子へ信仰を継承してきた歴史をもつと同時に、ジェンダーに対しては保守的な意識・制度慣行も多く残っている。
「家族」という場が抱えている今日的課題に仏教の教え・歴史はどのように関わってきたのか。今日、仏教思想はそうした諸課題に応答することが可能なのであろうか。本シンポジウムでは、信仰の継承、多様性、戒律の歴史の問題を最前線で取り組まれている登壇者の方々を招き、ジェンダー研究の観点、親鸞思想の観点から議論を行う。領域を超えて家族の現代的課題を見出していくきっかけを生み出すことを目指したい。
雑誌『añjali(あんじゃり)』は、現代社会が抱える諸課題について様々な方々と共有し、多角的に捉え直していくことを目的とした論考集です。
各号の論考は、様々な分野の最先端でご活躍になられている研究者や有識者の方々にご執筆いただいており、第41号からは各号に設定したテーマに基づいた特集企画も掲載しております。
第43号では、〈「家族」という場〉という特集テーマのもと、今般のシンポジウムにご登壇いただきます菊池真理子先生に巻頭の原稿をご執筆いただいております。
菊池先生の論考をはじめ、第43号のコンテンツはすべてオンラインでご覧いただくことができますので、このたびのシンポジウムにあわせて是非ともご一読ください。
(第5回シンポジウム特設ページでは、第43号の表紙絵をモチーフに使用いたしております)