マンガと仏教

吉村 昇洋 YOSHIMURA Shoyo
曹洞宗八屋山普門寺住職・相愛大学非常勤講師
マンガやアニメにおいて、仏教的な営みが表現されることは多々ある。例えば、現在大人気連載中の遠藤達哉『SPY×FAMILY』のアニメ版(Ⅰ期第10話「ドッジボール大作戦」)において、主人公の小学生アーニャがドッジボールの特訓を行う際にイメージトレーニングと称して坐禅を組んだり滝に打たれたりするいわゆる”仏道修行”の姿が描かれたし(原作マンガでは描かれていないが…)、澄守彩のライトノベルが原作の高橋愛『実は俺、最強でした?』では、魔法使いの少女がアンデッドのモンスターを倒した後、「なむなむなのです…」と目を閉じて手を合わせる、“仏教的な供養”を思わせるシーンも出てくる。
これらは、日本の文化に慣れ親しんだ読者であれば、サッと読み飛ばしてしまうほど自然な表現となっているが、仏教文化をまったく知らない人からすると、宗教的な何かをしているのかなと察するのが精一杯であろう。